恋愛中毒とは? 小説からテレビドラマ化
山本文緒の小説。2002年
第20回吉川英治文学新人賞受賞作。
いつになったら、私は自由になれるのだろう。
恋愛小説の最高傑作。
世界の一部にすぎないはずの恋が
私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。
もう他人を愛さないと決めた水無月の心に、
小説家創路は強引に踏み込んで――。
吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。
アサヒテレビ、テレビドラマ化
主演は薬師丸ひろ子
主題歌:「Love holic」薬師丸ひろ子
挿入歌:「彼方まで」RK Standard feat. Risa
登場人物
水無月 美雨 – 薬師丸ひろ子
翻訳家志望で英語に堪能。
弁当屋で働いている所を創路功二郎に
気に入られ関係を持ってしまい、
なりゆきから彼の事務所の社員となる。
恋愛にのめり込むと回りが見えなくなる。
藤谷直樹の元妻。
創路 功二郎 – 鹿賀丈史
テレビにも出演する人気作家だが、
どうしようもなく女にだらしない。
荻原 映一 – 岡本健一
杏林出版の社員。美雨と藤谷の大学時代の同級生。
美雨に対して単なる友情以上の何かがあるらしい。
久保 陽子 – 櫻井淳子
創路功二郎の秘書で愛人、
創路の事務所を一人で切り盛りしている。
美雨と創路が同じベッドにいる所を見ても
平然としている芯の強い女性。
美雨の秘密を探るために荻原に近づく。
藤谷 直樹 – 寺脇康文
美雨の元夫。
藤谷 理沙 – 加藤貴子
藤谷 直樹の再婚相手、妊娠中。
創路のばら – 宮本裕子
創路功二郎の妻、大金持ちのお嬢様で
一見すると天真爛漫。
愛犬を「陽子」と名付けている。
鈴木 千花 – 吉井怜
創路の事務所に所属している女子高生のタレント。
愛人のうちの一人。
照井 美代子 – 余貴美子
銀座のクラブのママ。創路の愛人の中で一番の古株。
合田 ナナ – 野波麻帆
創路と前妻との間にできた娘(19)。
幼いころに両親が離婚してからは母親に引き取られ、
父親の創路とはそれ以来電話で話すだけで直接会ったことはない
〈あらすじ〉
この物語はある編集プロダクションに
勤務する男性の語りから始まります。
彼は勤務中に、いきなり押しかけてきた
元カノとの間でひと悶着あったのですが、
それを機に、
事務員のおばさんの独白を聞きます。
この事務員のおばさんこそ、
物語の主人公である水無月です。
男性の語りから察すると、
水無月は40歳を超えた地味な独身女です。
物語はやがて、
過去の水無月の視点へとシフトしていきます。
夫との離婚、水無月が長年ファンであった
作家創路との出会い、そして彼との愛人関係。
離婚の痛手から、
もう二度と他人を愛しすぎないと誓った水無月。
どこにでもいそうな、恋に不器用な女性として
描かれている水無月に、
私たち女性は自然と気持ちが入っていきます。
しかし物語を読み進めていくにつれて、
後半、水無月がかなり重度のストーカーで
あるとわかってきます。
結婚する以前から、
また、結婚してからも同じ過ちを繰り返し、
そのストーカーの容疑で執行猶予中にもかかわらず、
またも犯罪に手を染めてしまうのです。
その展開は実に巧妙で、水無月の狂気に対する
不気味さや恐怖がじわじわと入ってくる感じは、
文章ではなかなか説明ができません。
そして、恐ろしいのに、
決して正気の沙汰ではないのに、
多くの女性読者が自分のことのように
共感できる部分があるのです。
こうして過去の物語が終わり、
現在へと戻ります。
しかし、読者は最後の最後に、
水無月の中毒症状は今尚続いているという事実を知り、
二重の恐怖を味わいます。