『恋愛暴君』(れんあいぼうくん)
三星めがねによる日本のウェブコミック作品。
『COMIC メテオ』(フレックスコミックス)にて2012年5月に読切作品として掲載された後、同年7月より連載中。
著作:三星めがね
カテゴリー: 少年コミック
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あらすじ
男子高校生・青司の下に、死神の姿をした少女・グリが現れた。
グリは実は天使で、その手には「書いた者同士は必ずキスをする」という「キスノート」を持っていた。
しかしノートには「24時間以内にキスしないと書いた者(グリ)は死に、書かれた者(青司)も一生童貞のまま生涯を終える」という副作用もあり、グリはキスを青司にせがむがこれを拒否する。
その翌日、青司は学校で憧れの美少女・茜と会うが実は彼女は青司のことが死ぬほど大好きで、グリの姿を見るや「青司の彼女」と勘違いしていきなり襲うがこのドサクサで茜は青司とキスしてしまう。
これはグリが「一瞬だが両者がお互いを想う気持ちが通じ合っていた」として茜の名前を書いたのが理由であった。
「キスノートに書かれた者同士がキスすると必ず結婚し、未来永劫末永く結ばれる」と聞いて狂喜乱舞する茜だったが、ノートには「私も青司に興味を持ったので」という理由でこっそりとグリの名前も書きこまれていたのだった。
〈登場人物〉
藍野青司(あいの せいじ)
声 – 小野賢章、吉岡茉祐(幼少期)
本作の主人公。男子高校生。所謂「巻き込まれ体質」の気があり、グリの出現によりヒロインに振り回され男子生徒から嫉妬と恨みを買う日々が始まってしまう。
なぜ彼が選ばれたかというとグリが「有名男性声優同士のBLが見たい」とキスノートにその名前を書いてみたものの、その声優と一字違いだったため想いを寄せていた茜と実は両想いだったが、殺人もしかねない重度のヤンデレというとんでもない本性を知って恐怖する。
グリによってキスノートにグリと茜の名前も書かれ恋人同士となるも、それが災難の本格的な始まりとなってしまう。
騒動に絶えない日々を過ごすが、人に対してツッコミ以外で怒ったり、人に恨みを抱く事がなく、人ごとでも一緒に悩んでくれる度量の広さを持っているが、周囲の人間は訳ありのバックボーンや人間離れした身体能力の持ち主ばかりのためか、彼の人徳が理解されないことが多く、特に茜と恋人同士になって以降は、周囲の男子生徒から敵意と殺意を一身に浴びている。
グリ
声 – 青山吉能
本作のメインヒロインの一人。
父が神様で母マヴロが悪魔というハーフの少女だが、コスプレが好きなことと天使の格好が好きではないという理由で普段は死神の格好で登場している。
一度興味をもった対象には全力で食いつく。
愛のキューピッドを務めているが自身は恋をしたことがなく「男女愛」について全く知らない。
しかし働くのも動くのも大嫌いで、自分のBL趣味とその場の思い付き(これもほぼBL趣味)でしかキスノートを書かないため、キューピッドとしての役目を果たす意志は全く無い。
ご都合主義により「普通の人には見えない」ことになっているが、これは単にグリの妄想と妄言に過ぎないため、実際には見えている。
しかしながら超常的な存在なのは事実であり、人間なら絶対に死ぬようなけがを負っても平然としている。
また、キスノートに自分の名前を書きこんだために青司や茜たちは死ぬことができない身体にされてしまった。
傍若無人ではあるが、理解出来なくとも愛情そのものを踏み躙ったりする事はなく、時には天使の本能が働いて本質を突くことがある。
緋山茜(ひやま あかね)
声 – 沼倉愛美本作のメインヒロインの一人。
所属は陸上部。学園のアイドルで青司にとっても憧れの美少女。
だが彼女も青司を溺愛するヤンデレで、服の中に襲撃用のグルカナイフを仕込んでおり、その気になったときの身体能力は人間離れしている。
キスノートの力があったとはいえ青司も自分を想っていたことを知り、キスもできて恋人同士になれたことに幸せを感じている。
恋敵と見なしたグリを「チビ猿」と呼び、存在を認めていないが、殺せないので放置せざるをえない状態。
だが、いつか何とかしようとたくらんでいる。
異母妹の柚に対しては溺愛しているわけでもなければ、青司を最優先していることから特別な愛着も抱いていないが、自分の通う学校にいかない柚を「家の人に怒られるから戻りなさい」と諭し、自分の着替えをのぞいていたことを指摘はしても、それ以上に咎めることはしないなど、嫌ってはおらず優しく接している。
表面の優しい性格は、温厚な態度で他人をかわしているだけで、他人には興味が希薄。そのために、青司絡みか完全に対立している相手以外では寛容に接している青司との未来、結婚生活のためにと花嫁修業を欠かしておらず、特に料理と包丁研ぎは大の得意。
(青司限定だが)良くも悪くも恋に生きる女であり、青司に近付く女(本人曰く「メス」)と浮気(不可抗力のキスも含む)が大嫌い。
なお、あくあだけは将来の義妹となる(予定の)ため、実妹の柚以上に心から優しく接している。
黄蝶ヶ崎柚(きちょうがさき ゆず)
声 – 長野佑紀
本作のヒロインの一人。茜の異母妹で富豪の令嬢。
どんなに邪険にされても姉が超大好きな百合少女。
茜に近づく男は全て敵と認識しており、その中でも青司は殺そうと考えるほど大嫌い(茜と恋人になったことが何よりも許せないため)だが、グリが勝手にキスノートに名前を書きこんだことで、自身も青司らと関係を持つ羽目になる。
その関係が長く続き、青司に対する態度が徐々に軟化してきているだけでなく、彼に対し特別な感情が芽生え始め、しかしせりふに時折トゲがあることがあり、言うなればツンデレに近い。
バリアを張る能力で要人や貴重品を守るなりわいの一族のため防御術に長けており、茜が繰り出すグルカナイフを折り、車に轢かれそうになった際は接触部がバリア型に抉ってしまうほど。
そのため、能力を制御できなかった幼児期はひとりぼっちだった模様。
また、付き人の鶴岡を下僕として扱き使っている。
茜の物品にも興味を持ち、使い捨てたゴミを回収するなど節操のない一面があるが、下ネタは嫌いのようで天亞薇が下品なギャグを言ったときにはドン引きしていた。
お嬢様らしいワガママさと世間知らずな面があるものの、実は青司の恋人の中では最も常識人(他の女たちの思考が常識外れであるため)であり、また、主要人物の中では一番グリと仲が良く、グリの消息不明や悪魔になってしまったときには青司以上と言えるほどに一番心配していた。
白峰樒(しらみね しきみ)
声 – 原由実
本作のヒロインの一人。茜・柚の従妹。
緋山家の雑用(作中の描写から汚れ役)をする関係にあり、いつもヘラヘラした表情をしている。
変装の達人で、地毛は白だが髪はピンクに染めている。
性や暴力に対する抵抗感が皆無で、他人が大切にしているもの壊すか奪ったり、他者を痛めつけることが大好きな外道。
その一方で自分が痛めつけられることも好きな変態だが、自分の思惑から外れていくグリだけは苦手。
物事が自分の思い通りにならなかったり、正義感を押し付けられると怒り狂う。
彼女の本性を知って恐れている人間もいるが、見ず知らずの人間の人心を掌握する術と演技力に長けており、素性を知らなかった青司も優しい女子を演じていた彼女に気を許してしまい、グリや天界の仕組みをすぐに話してしまった。
この事で、永遠の痛み(快感)を味わいたいために不死身になり、青司の「恋人」になろうとした。
自身の快楽追及のために青司にとって敵とも味方ともつかず、グリ以上に場をかき回すトリックスター。
緋山と黄蝶ヶ崎の家に比べて軽んじられた境遇から奪う形でしか満たす術がない人格が形成され、青司の事は当初は茜から奪うためだけだったが、不死身で際限なく痛めつけられることから興味を抱き、キスの相性は悪くないなど、次第に彼への興味も深めていく。
そして、グリと青司との生活は歪んで他人どころか自身でも触れられなかった内面に触れられていく事となった。
藍野あくあ(あいの あくあ)
声 – 高橋李依
青司の妹。兄には冷たく、素っ気ない。
青司の強い女性に憧れた側面から強くなるためにいろいろな格闘技を学び始めたが、今では趣味の一環と化している。
もともと、髪が長かったが、これも兄の影響からショートヘアに変えた。
要するに兄との距離感を掴めずにいるだけの反抗期で、根は兄を慕っており、普通の人間故に軽んじられている兄を唯一まともな形で気遣う数少ない人物。
お化けや、顔が気持ち悪い生き物が大の苦手。
茜には優しくされるものの、殺人を犯しかねない暴力性と兄の彼女である事を非常に不愉快に感じており、茜の事は好きではないが、ストラスに救ってもらったため、兄との交際は一応認めている。
椎名茉莉(しいな まり)
声 – 大坪由佳
クラス委員長。茜の友人。大家族の長女ゆえに情けない相手を放っておけない性分で、堅実をモットーにしつつ印象以上に恋に強かな女性。
教師である楠梛斗には入学当初から想いを寄せており、立場の関係から踏み出せずにいたが、グリと柚の助力などで両想いになった。
コラリ
声 – 檜山修之
グリの天界での上司。大抵の人が驚き、引いてしまうほどのくどい顔の持ち主。
下界では藍野家の飼い猫ブルーの身体を借りているが、顔はそのままなので「人面猫」のような姿になってしまっている。エリート意識が強く、地位の低い仕事を何かと底辺呼ばわりすることから、評判は結構悪い。
マヴロ
声 – 田村ゆかり
グリの母で悪魔。夫である神様の浮気が原因で離婚し、その後行方不明となる。かなりのコネを持っており、その人脈と権力は神様と魔王の力関係を凌いでいるとのこと。
離婚後は物語を執筆中の莞草と出会い、娘のために異世界を創造していたが、異世界内と現実世界の時間の流れが異なる事に気付かず、彼を何年も家族から離ればなれにしてしまった。
グリに似て奔放だが、相手の立場と事情も察する事はできる分だけ話は通じる。
神様
声 – 大塚芳忠
天界の神様だが、グリの父。
その姿は神の名からは程遠いダメおやじ。
神としての身分を利用して好き勝手に動いて、否応なく周囲を巻き込むので他の天使からは避けられている。
それでも一応は「親」であり、グリを理解している青司の姿に、頭を下げてグリを任せている。
魔王
声 – 子安武人
地獄の魔王だが、魔王らしからぬ働き者で人望(悪魔望)も厚い。
同時に真面目過ぎて悪魔らしくない管理社会を形成し、悪魔たちの間では反感も少なくない。
グリを後継者に勧誘しており、時折奸計をはかる。
神様と仲は悪いが数百年の付き合いであり、けんかしつつも普通に遊びに来る。
わりと潔癖症で神経質な上、かなりの貧乏舌。
実はグリの母親とは仲が良く恋心を抱いていたが、彼女はすでに神様と婚約している事を知りショックではあったが、その神様が浮気をしてグリの母親は行方をくらましそれを知った後、自分が惚れていた女性を傷つけたという事で神様を責め立て、その過去の名残から、グリを惚れていた彼女と重ね自分の下に置こうと考え出した。
鶴岡太郎(つるおか たろう)
声 – 内匠靖明
柚の付き人で、彼女の警護や送迎を担当している。
時々、柚の近況を柚の母・アメイシャに報告しているが、柚に都合の悪い報告内容はアメイシャによって即座に隠蔽されてしまっている。
付き人とは名ばかりの下僕として柚に扱き使われており、そのストレスで胃薬が手放せない。
それゆえに付き人の仕事を辞めたいと常々思っている不憫な男。
ストラス
声 – 堀内賢雄
「地獄のストラス」の異名を持つペンギン。
元は危険動物マニアの飼い主に飼われていたペット。
あくあに惚れて以来、ずっと彼女と番(つが)いたいと思っており、年柄年中発情している迷惑なペンギン。
その危険性は街でも有名だったようであり、一番の被害者である、あくあはおろか、柚さえも対面をしたペンギンがストラスと知った際には恐怖から逃げ出し、捕まえるには機動隊が出動し、茜も苦戦するほど。
天亞薇(ティアラ)
声 – 喜多村英梨
ギャル風のキューピッド。
妊娠を機にキューピッドを辞め主婦業に専念するため、キスノートを焼失したグリに、自分が使っていたスマホ型の仕事道具をプレゼントする。
コラリの事は大嫌いで、互いに仲も悪い。
楠梛斗(くすのき なぎと)
声 – 立花慎之介
化学の先生。オドオドしやすい。
茉莉から想いを寄せられている事にはうすうす感づいてはいたものの、教師と生徒という立場の隔たりから彼女の気持ちから目を逸らしていた。
最近ようやく両想いにはなったが、立場は気にしている。
蘇芳(すおう)
声 – 大原さやか
茜の母親。普段は本宅にいて、娘とはたまにしか会わない。
仕事人で、家の事を第一に考え、規則と規律を重んじて自分のやり方でごり押しして相手への配慮が二の次な面があり、それが人には冷たく見えてしまっている。
過去に好きだった男(自身の夫)に逃げられるという裏切りを経験した事から茜に同じ思いをさせないために人に心を許さないよう厳しく接する。
裏切りと騒音を何よりも嫌っており、夫の裏切りを許す気は微塵も無い。
また柚の母親のアメイシャとは犬猿の仲だが、こちらから何かしようとは思っておらず、それくらいの存在でしかない。
他人行儀な性格で娘に対しても、さん付けをしている。
同時に、夫が去った後も結婚指輪を肌身離さず持ち続けている。
アメイシャの言葉によると、茜の母親らしくいろいろな意味で愛が重かったことが示唆されており、現在の厳格な性格は夫の失踪が由来となっている。
アメイシャ
声 – 佐藤利奈
柚の母親。世界中を仕事と称して遊び歩いているため、娘とはたまにしか合わない。蘇芳とは犬猿の仲であり過去に旦那を取り合っているが、それ以上に蘇芳の事はとにかく気に食わないし、嫌っている。
いつか自分の手で始末する事を夢見ている。
娘には幸せになってもらいたいと考え、ひそかに将来の旦那さん候補を選んでいる(特に石油王)
蘇芳に比べると、悲恋に終わっても当時の幸福感そのものは否定しない前向きな人物。
彼が自分たちを捨てた事情も蘇芳の重すぎる性質故と転嫁している部分もあり、蘇芳同様に莞草との結婚指輪を持ち続けている。
愛のキューピット(?)グリと青司とその仲間たちが“キスをする相手”を求めて繰り広げるハイテンションラブコメディにあなたもきっと恋がしたくなるはず(!?)。
主題歌
オープニングテーマ「恋?で愛?で暴君です!」
作詞 – 畑亜貴 / 作曲・編曲 – 田中秀和 / 歌 – Wake Up, Girls!
エンディングテーマ「「スキ」を教えて」
作詞・作曲 – ゆうゆ / 歌 – smileY inc
スタッフ
原作 - 三星めがね
監督 - 濁川敦
シリーズ構成 - 高橋ナツコ
キャラクターデザイン – いとうまりこ
総作画監督 - 谷津美弥子、北村淳一
美術設定 - 小山真由子、松本浩樹
美術監督 - 松本浩樹、菊地明子
色彩設計 - いわみみか。
撮影監督 - 岩崎敦
編集 - 近藤勇二
音響監督 - 本山哲
音楽 - MONACA
音楽制作 - DIVE II entertainment
アニメーション制作 - EMTスクエアード